医療福祉の労務情報
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文書作成日:2018/08/31


 今回は、職員個人の判断で指示を受けずに行った残業代の取扱いについての相談です。




 当院ではできるだけ効率的な仕事を行い、職員の残業時間が少なくなるような取組を行っていますが、一部の職員がこの取組に反し、医院の許可を受けず必要のない残業を行っているようです。このように職員が個人の判断で行った残業に対しては、残業代を支払わなくてもよいのでしょうか。




 労働時間として取扱う時間は、明示または黙示により「労働者が使用者の指揮命令の下に置かれている時間」であるとされます。現状では、職員が個人判断で行ったものであっても、医院からの黙示の指示があったと主張がされ、残業代の支払いが求められる可能性がありますので、今後は残業の申請・許可制を徹底し、許可を受けない残業は認めないようルールを定めるとよいでしょう。




 今回のケースでまず押さえておかなければならないのは、労働時間の定義です。労働時間とは、一般的には現に労働している実労働時間のことを指しますが、行政解釈では「労働者が使用者の指揮命令の下に置かれている時間」とされており、労働時間か否かを判断する際は就業規則や労働契約に定められた労働時間だけではなく、その実態等も含めて考えることになります。

  医院で残業時間を少なくするような取組を行っているにも関わらず、職員が個人の判断で必要のない残業を行ったような場合、その時間を労働時間とカウントすることは適切ではありません。こうした問題を回避するためには、職員が「残業が必要だ」と判断したときには、事前に医院の許可を受けなければならないという申請・許可制のルールを設けることが考えられます。つまり、残業について、医院が指示をし、指揮命令の下にあることを明確にすることで、許可を受けていない残業時間は、労働時間にはならないことを明らかにするのです。また黙示による指示があったとの主張を避けるためにも、ルールを設けたときには運用を徹底することが重要となります。

 労働時間管理という言葉をよく耳にしますが、これは労働時間を把握するという意味ではありません。仕事に対して緊急性や重要性から優先順位をつけ、効率的な作業方法を考え、限られた労働時間の中でいかに効果的に業務を進めるかを考えることが労働時間管理の本質です。

 現実の職場をみると、残業代をあてにしたような必要のない残業がみられることもあるかも知れません。効率的に仕事を行うことで残業時間が減少すると、結果的には職員自らの収入も減少してしまうことは間違いのない事実ですので、残業時間の削減を進める際には、医院の考えを職員と共有するとともに、十分なコミュニケーションを取り、理解を得ながら進めることが重要です。


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